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『喫茶去』のお寺 心やすらぐひとときを、ご先祖さまとともに。

その昔、中国は唐の時代のあるお寺に、趙州(じょうしゅう)禅師というお人がおりました。

ある日、修行僧が来山したおり、禅師が僧に「この寺に来たことはおありかな」と尋ねたところ、僧は「ありません」と答えました。すると禅師は、「喫茶去(まずはお茶をおあがりなさい)」とお茶を勧めました。別の僧が来たので同様に尋ねると、その僧は「来たことはあります」と答えましたが、禅師はまた今度も「喫茶去」と茶を勧めました。

その様子を見ていた寺の院主が、禅師に尋ねました。「どうして初めて来た僧のみならず、来たことのある僧にも同じように茶を勧めたのでしょうか」。禅師は院主にこう答えました。「喫茶去」、と…。

「喫茶去」という禅語には、上の由来が伝えられていますが、その意味するところは何でしょうか。

もちろん、奥深い禅の教えですから、一朝一夕にその真髄を説くことは叶いませんが、少なくとも、この説話を通して普段の私たちが実践できることは、「相手がだれであろうと、また、どのような状況であろうと、等しく、平らかな気持ちでお迎えすること」ではないでしょうか。

正伝寺は、四百年あまりの歴史をもつ、弘前禅林街のお寺ですが、決して格式ばった敷居の高いお寺ではありません。ねぷた絵師でもあった先々代の長谷川達温和尚のころより、「ねぷた寺」として、お檀家様方はもとより、広く弘前市民のみなさまに親しまれて参りました。

お盆やお彼岸、お命日には、一とき日常の忙しさを忘れ、心やすらかにご先祖様にお手を合わせていただけますよう、お努めさせていただきます。ふとした気分転換にも、どうぞご活用ください。縁側でお庭を眺めながら、ゆったりとした時の流れの中でリフレッシュしていただけることでしょう。

「喫茶去」の心持ちで、あたたかくお迎えいたします。ぜひご来山くださいませ。

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